経営ノウハウ

トリミングサロンの損益分岐点|黒字化に必要な売上の計算方法

「毎月忙しく働いているのに、手元にお金が残らない」「そもそも、あと何件こなせば黒字になるのか分からない」——トリミングサロンを経営していると、こうした漠然とした不安を抱えがちです。感覚で走り続けるのではなく、数字で「ここまで売れば黒字」というラインを把握できれば、無理のない経営計画が立てられます。この記事では、トリミングサロンの損益分岐点の考え方と、必要な売上・施術件数を逆算する具体的な手順を解説します。

損益分岐点とは何か

損益分岐点とは、売上と費用がちょうど釣り合い、利益がゼロになる売上高のことです。この金額を超えれば黒字、下回れば赤字になります。つまり「最低でも月にいくら売り上げれば店を維持できるか」を示す、経営のボーダーラインです。

この損益分岐点を計算するには、まず毎月の費用を「固定費」と「変動費」の2つに分ける必要があります。ここが最初のポイントであり、多くのオーナーがつまずきやすい部分でもあります。ざっくりでも構わないので、自店の費用を一度きちんと仕分けしてみましょう。

固定費と変動費に分ける

固定費は、売上の増減にかかわらず毎月ほぼ一定でかかる費用です。トリミングサロンでは主に次のようなものが該当します。

  • 家賃・共益費
  • スタッフの固定給
  • 水道光熱費の基本料金部分
  • リース料・借入返済
  • 保険料、各種システムの月額利用料

一方の変動費は、施術件数が増えるほど比例して増える費用です。

  • シャンプーやトリートメントなどの消耗品
  • 電気・水道の使用量に応じた部分
  • 歩合給や外注費
  • キャッシュレス決済の手数料

実際には「基本料金+使用量」のように両方の性質を持つ費用もありますが、判断に迷うものは主だった性質で振り分けて構いません。まずは全体像をつかむことが目的です。

損益分岐点を計算してみる

損益分岐点売上高は、次の式で求められます。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 - 変動費率)

変動費率とは、売上に対する変動費の割合です。たとえば売上が100万円で変動費が20万円なら、変動費率は0.2(20%)となります。

仮に、月の固定費が60万円、変動費率が20%のサロンで考えてみましょう。

損益分岐点売上高 = 60万円 ÷(1 - 0.2)= 75万円

この場合、月に75万円を売り上げてようやく利益ゼロ、つまり75万円が黒字と赤字の境目です。固定費が高いほど、また変動費率が高いほど、必要な売上は大きくなります。逆に言えば、家賃や消耗品コストを見直せば損益分岐点そのものを下げられるということです。

必要な施術件数に落とし込む

売上金額だけでは日々の目標として実感しづらいので、施術件数に換算してみましょう。ここで登場するのが客単価です。

先ほどの例で、平均客単価が7,500円だとします。

必要件数 = 損益分岐点売上高 75万円 ÷ 客単価 7,500円 = 100件/月

月100件ということは、月25日営業なら1日あたり4件がボーダーラインです。ここまで分解すると「1日4件までは経費を払うための施術、5件目からが自分の利益」と、日々の目標が具体的に見えてきます。

さらに一歩進めて、目標利益を上乗せした「目標売上」も計算しておくと計画が立てやすくなります。たとえば月20万円の利益を残したいなら、

目標売上 =(固定費60万円 + 目標利益20万円)÷(1 - 0.2)= 100万円

このように、残したい利益から逆算して必要な売上と件数を決めておくと、日々の予約状況を見ながら軌道修正しやすくなります。

損益分岐点を下げる・超えるための工夫

損益分岐点を把握したら、次は「境目をどう超えていくか」です。方向性は大きく2つあります。

1つは、損益分岐点そのものを下げること。固定費のうち見直しやすいのはシステム利用料や保険、リース内容などです。過剰な契約がないか、定期的に棚卸しをしましょう。変動費については、消耗品の仕入れ単価や使用量の管理が効果的です。

もう1つは、売上を安定して伸ばすこと。ここで意外と影響が大きいのが、空き枠と取りこぼしの削減です。せっかく予約が入るはずだったのに電話に出られなかった、キャンセルで空いた枠が埋められなかった、といった機会損失は、損益分岐点を超えるための貴重な件数を削ってしまいます。

たとえば24時間ネット予約に対応できる予約システム「groom」(ペットカルテや自動リマインド機能を備え、初期費用0円・月額8,000円)のような仕組みを使えば、営業時間外の予約も取りこぼしにくくなり、リマインドで無断キャンセルも減らせます。こうしたツールの月額費用も固定費として計算に含めたうえで、それを上回る件数増につながるかを見極めるとよいでしょう。

まとめ

損益分岐点は、費用を固定費と変動費に分け、「固定費 ÷(1 - 変動費率)」で求められます。それを客単価で割れば、必要な月間・1日あたりの施術件数まで具体的に落とし込めます。

大切なのは、一度計算して終わりにせず、家賃や仕入れが変わったタイミングで見直すことです。自店のボーダーラインを数字で把握できていれば、値上げの判断も、設備投資の判断も、感覚ではなく根拠を持って行えます。まずは直近の1か月分の費用を仕分けするところから始めてみてください。

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